2012年12月27日木曜日

iOSとAndroid

iPhoneやiPad(iOSデバイス)と、Android。使い比べてみると何が違うのか。先日Androidの7インチタブレットNexus 7を購入したことをきっかけに、いくつか感じたことがあった。

iPad 4(左)とNexus 7

アイコンのデザイン


iOSデバイスとAndroid端末の画面を見たときにまず気がついたのは、アイコンのデザインだ。iOSアプリのアイコンは外形が必ず角丸の正方形になっているが、Androidにはその制約がない。見た目には、iOSのほうが整然とアイコンが並んでいるように見え、Androidは少しガチャガチャとした印象がある。

アイコンを置ける場所


iOSでは、アプリのアイコンは必ずとなり同士がくっつくように並べるしかないが、Androidではアイコンを置かない場所をつくることができ、レイアウトの自由度が高い。なぜiOSでこれができないのか、以前から不思議に思っている。

ホームボタン


iOSデバイスでは、iPhoneでもiPadでも、物理的なホームボタンが付いているが、Android端末では、ホームボタンは画面上に表示されている。縦位置から横位置に持ちかえるとホームボタンもついてきて、常に画面下中央に表示されるようになっている。

以前iPhone 4を使っていた時に、ホームボタンが反応しにくくなった経験があり、メカニカルなボタンのデメリットを実感した。高頻度で使うボタンだけに、信頼性という意味ではiOSデバイスのボタンには不安が残る。

「一つ前に戻る」ボタン


Androidには、ホームボタンの左側に、「一つ前に戻る」ことができるボタンがついていて、これがとても便利だ。iOSの場合、画面左上に「戻る」というボタンが表示されることが多いが、独自仕様のアプリもあり戸惑うこともある。

ウィジェット


iOSにはなく、Androidにある機能の一つがウィジェットだ。iOSでは、ホーム画面上にアプリのアイコンしか置けないが、Androidでは、例えば天気予報などのちょっとした情報をホーム画面上に置くことができる。


MacやWindows PCでも同様の機能が昔からあるが、常用することはなかった。しかし、携帯デバイス上でのウィジェットの機能は、とても便利に感じるから不思議だ。

ファイルシステム


iOSとAndroidそれぞれで、ファイルシステムの扱い方について、これらのデバイスがまだまだ発展途上にあることを感じた。

iOSデバイスではアプリごとにファイルシステムが閉じており、例えば、参照したいPDFファイルをiPhoneに入れておく場合、「どのアプリに入れるか」を、iTunes上であらかじめ選択する必要がある。GoodReaderで読むことにしたPDFは、iBooksからはアクセスできない。

一方でAndroidでは、PCにつなぐと内部のファイルシステムが丸見えになっている。端末側からファイルシステムにアクセスできるアプリもあり、この辺りはPCの考え方に近い。ESファイルエクスプローラーという定番アプリを使えば、自端末のファイルシステムにアクセスすることができ、例えばPDFファイルにアクセスすると、「どのアプリで開くか」を選ぶことができる。

端末に入れたファイルの扱い方について、AndroidはPCに近いやり方で割り切っているように思う。逆にiOSは、なんとかして「ファイル」という概念を無くして、ポストPC時代をiOSで切り開こうとしているようにも思えるが、まだ模索段階にあるようだ。


市場が成熟した感のあるPCに比べて、スマートフォンやタブレットはこれから様々なイノベーションが期待できる。iOSもAndroidも、MacやWindows PCが築いてきた技術的基盤を利用しながら、日々進化を続けている。iOSとAndroidのどちらが優れているかという点については、どこを切り取りどんな価値観で評価するかで、良い評価にも悪い評価にもなり得る過渡期にいるという印象だ。それぞれ一長一短があり、どちらかが圧倒的に優れているという印象ではない。主要なアプリが双方のデバイスに供給される限り、これからも競争が続くだろう。今後の進化がますます楽しみだ。

2012年12月24日月曜日

Kindleのライブラリ統合(その後)

Kindleの日本語版がスタートした後、英語版のライブラリとの統合について様子を見ていたのだが、先ほどカスタマーサービスにメールで連絡して、無事統合することができた。

日本語版がスタートした当初、.co.jpのサイトから買える洋書の値段や品揃えに不安があったが、.comでドル建てで買った洋書の値段を.co.jpの円建ての値段と比べたところ、ほとんど違いがなかったため、統合したほうが便利だろうということになった。

カスタマーサービスへの連絡は、以下のURLから行える。


上記ページで、以下のように指示してみた。

ステップ1
「1 お問い合わせの種類を選択してください」のところで、「Kindle」のボタンをクリック

ステップ2
「2 お問い合わせ内容を選択してください」のところで、お問い合わせ内容「その他」を選択

ステップ3
そうすると、「詳細内容」と表示されるので、「アカウントの結合」を選択

ステップ4
「さらに詳細を選択してください」と表示されるので、「アカウントの結合に関するトラブル」を選択

ステップ5
「3 お問い合わせ方法を選択してください」のところで、好みの方法を選択(メール、電話、チャットのいずれか)

私はメールでの連絡を選択し、統合ができない旨を以下のように書いてみた。

カスタマーサービスご担当者様 
Kindleのライブラリを統合しようとして、amazon.comの Manage Your Kindle のページから Learn more をクリックし、さらに Yes, consolidate my libraries をクリックしてから、amazon.co.jpのアカウント情報を入力後、以下のような表示となります。
------------------
We are unable to consolidate your libraries.
There are situations in which we are unable to consolidate your libraries. Please contact Amazon Customer Service for assistance with consolidating your Kindle library with your other Kindle library.
------------------
Amazon.comとAmazon.co.jpのKindleライブラリを統合するにはどうしたらよいでしょうか。
なお、私のアカウントは以下の通りです。
amazon.comのアカウント: (IDとして使っているメールアドレス)
amazon.co.jpのアカウント: (IDとして使っているメールアドレス) 
よろしくお願いいたします。

その後、カスタマーサービスから連絡があるので、その指示通りにすればよいのだが、メールの内容がかなり複雑なので、注意深く読む必要があった。私の場合、指示の主旨は以下の二点だった。

  • Kindle端末として登録してあるデバイスを、一旦すべて解除してください
  • Amazon.comのアカウント情報をカスタマーサービスに知らせてください

その他の詳細は、カスタマーサービスからのメールに書いてあるが、登録してあるデバイスをすべて解除しておくことが重要なようだ。


2012年10月26日金曜日

Kindleのライブラリ統合は悩ましい

Kindleの日本語版がようやくスタートし、早速日本語のコンテンツを買って読書を楽しんでいる。

2009年にKindle 2を購入して以来のユーザーなので、米国のAmazon.comアカウントももっており、これまで購入したコンテンツのライブラリは、.com側のアカウントで管理されている。

今回始まった日本語版は、.co.jp側のアカウントで管理されるので、別々のライブラリを持つことになる。.com側と.co.jp側のライブラリを統合(consolidate)することもできるようだが、状況によっては統合に失敗してしまい、まだこなれていないようだ。私の場合もなんらかの理由で統合ができない旨が表示され、カスタマーサポートに連絡するように促された。

サポートに連絡する前に少し調べてみたところ、意外な事実がわかった。

ライブラリを統合するにはアカウントの結合が必要


Amazon.co.jpのヘルプページに、以下のような記述がある。

過去にAmazon.comでKindleコンテンツをご購入済みの場合、アカウントの結合を行うことでKindleライブラリが統合され、Amazon.comで購入済みのKindleコンテンツをAmazon.co.jpで管理することができます。

ふむふむ、そりゃそうだよなぁと思いながら読み進めていくと、

アカウントを結合した場合、Kindleコンテンツの購入先サイトを選択していただく必要があります。Amazon.co.jpを購入先サイトに選択した場合、Amazon.comでKindleコンテンツを購入することはできなくなります。また、Amazon.comを購入先サイトに選択した場合は、Amazon.co.jpでKindleコンテンツを購入することはできなくなります。

とある。.comと.co.jpのKindleライブラリを統合しようとしてアカウントを結合した場合、それ以降、Kindleのコンテンツは.comか.co.jpのどちらかでしか買えなくなるということらしい。洋書は.comからドルで購入、和書は.co.jpから円で購入ということはできなくなる、ということだ。

これを知ったとき、「さっき、統合に失敗してよかったぁ〜」と思ってしまった。洋書は.comから買ったほうが、当面は価格的にも品揃え的にも有利なはずだ。

一方で、.comと.co.jpでライブラリが統合されていないことは、かなり不便なことでもある。iPadとiPhoneのKindleアプリは既にアップデートしたので、.co.jp側にしかログインできず、.com側のライブラリにアクセスできなくなってしまった。

苦肉の策として、iPadのSafari上で.com側からCloud Readerにアクセスしてみたところ、無事.com側のライブラリにたどり着いた。当面は.co.jp側はアプリで、.com側はCloud Rederで読むことになりそうだ。

国境を簡単にこえるインターネットの世界で、国別の管理をすることの難しさを、思いがけず目の当たりにした気分である。


関連項目: Kindleのライブラリ統合(その後)

2012年10月14日日曜日

音楽を楽しむ装置

レコードとFMラジオ放送。

1980年代前半に中学・高校時代を過ごした世代の私にとって、これらが音楽ソースの中心だった。CDが世の中に登場したのは1982年だが、プレーヤーが高価で手が出ず、手に入れたのは80年代後半になってからのことだ。

LPレコード、いわゆる「アルバム」は、80年代当時2,500円〜3,000円くらいの値段だったと思う。中学生には値の張る買い物だが、こづかいをやりくりしてお気に入りの1枚を買っていたものだ。また、そのころレンタルレコード店が流行りだし、200円〜300円で借りることができるようになり、せっせとカセットテープに録音していたことを思い出す。

レコードと並んで、当時のFM放送も貴重な音楽ソースだった。現在のFM放送はトーク番組が多くなったようだが、当時は「音楽を録音するための番組」が主流だったように思う。録音しやすいように、曲の始めと終わりには、DJのトークがかぶらないように配慮されていた。

「ウォークマン」で再生していたカセットテープには、このようにして録音したFM放送やレンタルレコードの音楽が詰まっていた。

現在では、その装置がiPhone(iPod)になり、カセットテープの時代と比べれば、音質はよくなり使い勝手も飛躍的に便利になったと思う。私が今使っているiPhoneには6,000曲以上入っていて、手元にある音楽ソースをすべて持ち運んでいることになる。

すごいことがあたりまえになったと思う一方で、音質も悪く不便だった時代は、当時は当時でかなり楽しい時代であったように思う。不便であれば、それをなんとか克服しようと、あれこれ工夫することが当たり前だった。「今日持って行くカセットはどれにするか」、「このレコードを録音するテープは60分がいいか46分がいいか?それとも90分テープのA面にすべて収まるか?収まったとしたらB面には何を入れるか?」、「ドルビー(雑音を低減する機能)をオンにするか、それともドルビー機能がないテープデッキで使うことを想定してオフにしておくか」など、マニアックな領域のことも含めて常に考えていた。このような工夫の過程で、様々な知識を吸収することができ、それがまた新たな工夫を生んだ。

今の時代、6,000曲がいつも手元にあると思うと、便利だと思う反面、音楽の楽しみ方についてあまり考えなくなったという実感もある。楽しみというものには、多少の不便さが同居しているものなのかもしれない。

自宅での音楽の楽しみ方も変わった。今ではiPhoneに入っている曲をApple TVを経由してAVアンプにつなぎ、スピーカーを鳴らしている。音楽を楽しむ装置は飛躍的に進歩したと同時に、いまは過渡期でもあるようだ。

2012年10月7日日曜日

iPhoneのメモアプリCatch

iPhone用のメモアプリCatchが使いやすい。

今までiPhoneの標準アプリの「メモ」を使っていたが、メモに画像を貼りたいと思ったときに、標準アプリのメモには貼れないことがわかり、それができるアプリを探してみた。

Catchは一ヶ月70MBまでなら無料で使える(Evernoteは60M)。EvernoteをWebクリッピング用として使っているが、月70MBならメモ用としては充分なサイズだ。

それにしても、なぜ標準のメモアプリに画像を貼れないのかが不思議だ。

バスの時刻表(画面キャプチャ)をCatchメモに貼る。なぜか標準アプリの「メモ」ではできない。

2012年9月29日土曜日

iPadで外付けキーボード

iPadを使い始めて3台目になるが、今まではカバーも保護フィルムも付けずに裸で使ってきた。iPad本体は、最新のテクノロジーを駆使して1グラムでも軽さを追求しているのに、カバーをつけて重くしたくないという感覚だった。

とはいうものの、常に手に持って使うことになるので、650グラム程度の重さがジワジワと持つ手に効いてくることも事実だったりする。やはり風呂フタカバーを付けて、テーブル上に置きやすくしたほうがいいかなと、使うたびに思ったりしていた。

そんな中で、キーボードとしても使えるタイプのカバーが日々進化していることを知り、LogicoolのUltrathin Keyboard Cover TK710を購入してみた。

BluetoothでiPadに接続する外付けキーボードとして使う時は、iPadをタテでもヨコでも、キーボードのわずかなくぼみに引っ掛けるようにして立てかけることができる。

持ち運ぶ時には、Apple純正の風呂フタカバーのように、マグネットでカチッと取り付ければよい。

キーボードを打ちつつ、画面操作は画面タッチで行うという感覚は今まで経験したことがなかったが、少し使うだけで慣れてくるものだ。

読むツールとしてiPadを使ってきたが、これからは書くツールとしても活用できそうだ。そうなると、ますますMacBook Airとの使い分けが悩ましくなってくるのだが。

Ultrathin Keyboard CoverとiPad

2012年9月14日金曜日

不可能を可能にしたアポロ13号に学ぶ

人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号。その次の12号も成功。さらに打ち上げられた13号は、世間の注目も低くなり始めていた。そして想定外の事故が起きる。

月に向かって飛行中、宇宙船の一部が爆発し、月着陸どころか地球に戻ってこれるかどうかもわからない危機的な状態に陥ってしまった。しかし、宇宙飛行士と地上の管制官たちの驚異的な努力により、地球生還を果たした。

映画にもなったアポロ13号。この事故は、「最も成功した失敗」と呼ばれているそうだ。テレビ番組でも何度も放送されていて、つい昨日もNHKのBSで放送されていた。この放送を見ていて、組織のあり方、働き方の理想について、あらためて多くの教訓を得ることができた。そのいくつかを書いてみる。

推測で状況を悪くするな

アポロ13号で事故の発生が明らかになり、動揺する管制室のメンバーに向かってフライトディレクターがこのように呼びかけたそうだ。

何か問題が起きたとき、競うように推測が飛び交い、混乱に拍車がかかることがある。大切なのは「事実」であって「推測」ではない。

教訓:事実でなく、推測を前提に仕事を進めていないだろうか。

現場の人間には現実がよくわかるが、管理側には見えていない

一部が爆発した宇宙船に乗っている宇宙飛行士には、事の重大さがわかっているが、警告ランプやモニター越しでしか様子をつかめない管制室では当初、「また警告ランプの誤作動か」くらいの認識しかなかったという。

教訓:現場から問題が上がってきたとき、管理側の自分はそれを軽視していないだろうか。軽視する根拠はなにか。自分の過去の経験は、軽視する根拠にはならない。

問題解決につながるアイデアがあれば、組織のどんな偉い人でも話を聴いてくれる

13号の事故の直後から、飛行士たちを無事に帰還させるためのあらゆる努力がなされたが、問題解決につながるアイデアを持っている人であれば、管制室のメンバーだけでなく設計のエンジニアであっても、その意見を聴いてくれる組織風土があったそうだ。

教訓:組織文化がフラットになっているだろうか。フラットな組織をつくろうとして、組織だけフラットにしていないか。

意思決定者が誰かが明確である

アポロ計画では、最終的な意思決定者は、NASAの長官でもなく、大統領でもなく、管制室にいるフライトディレクターが最終的な意思決定権を持っていた。大事な意思決定を行う必要がある時、意思決定の遅れが致命的になることがある。

現場の責任者(フライトディレクター)が最終的な意思決定者となり、組織のトップは支援者として現場を支える。これが、迅速な意思決定を行うための鉄則だ。

教訓:自分の仕事の最終意思決定者が誰か知っているだろうか。その人と自分の間に信頼関係はあるだろうか。

解決策は必ずある。絶対にあきらめない

アポロ計画に携わった人々が共有していた価値観。このような価値観が根底にあるからこそ、月着陸という偉業が成し遂げられ、さらには13号の絶体絶命の危機をも乗り越えられたのだろう。

教訓:できない理由を考えることが得意になっていないだろうか。あきらめる理由をいつも探していないか。

パニックになっても何も解決しない

「あきらめない」という価値観と同様である。

教訓:あれこれ大声で指摘するだけに終始していないだろうか。すぐに「責任」という言葉を持ちだしていないか。

全体に興味を持ち、自分の担当以外のことも勉強している

アポロ13号の事故で、電源不足の解決策をまかされたのは、26歳の担当官であったそうだ。彼は、自分の担当以外の分野も広く興味をもって勉強していて、フライトディレクターの信頼も厚かったそうだ。

深く、かつ広く知ろうとする好奇心が、自分の得意領域を豊かにする。深いだけでは視野が狭まり、得意領域が応用できなくなるということだろう。

教訓:専門バカになっていないだろうか。自分の仕事の範囲を、自分で狭めようとしていないか。

よし任せた。やってみろ

上記26歳の担当官に、フライトディレクターがかけた言葉。細かい指示はせず若手に仕事を任せると、任された若手の「やる気」に火がつく。

教訓:任せたと言いながら、あれこれ細かい指示を出していないだろうか。任せられる若手を、日頃から育てているか。


上記エピソードは、アポロ計画という特別なプロジェクトでの話であるが、自らの働き方や組織に置き換えても、決して大げさすぎるという話ではないと感じる。

2012年9月13日木曜日

WebクリッピングはEvernoteのClearlyが便利

保存しておきたいWebページに出会ったとき、Evernoteにクリッピングするようにしている。Evernoteを使い始めた時はWebクリッパーを使っていたが、しばらくして、Clearly(クリアリー)を使うようになった。

Webクリッパーは、Webページのレイアウトを保ったまま保存したい場合に便利だが、広告などの不要な部分がゴチャゴチャあるページの場合、必要な場所だけを切り出すことが難しい場合もあり、結局ページ全体をクリッピングせざるを得ないことが多い。

一方で、Clearlyを使うと、Webページ中の本文だけが抽出され、スッキリとしたレイアウトでクリッピングすることができる。ただし、元のレイアウトはなくなり、シンプルなブログのようなレイアウトになる。文字情報中心のニュース記事などのクリッピングに適しているだろう。Webページの元のレイアウトがなくなってしまうことに、最初は抵抗があったが、使い続けていくうちに、シンプルなレイアウトでのクリッピングに慣れてしまい、気にならなくなった。

Clearlyを使うもう一つのメリットがある。複数のページに分割されているWebページ(「次へ」をクリックしながら読み進むタイプのページ)の場合、例えば5ページに分割されていれば、Webクリッパーの場合は1ページずつクリッピングする必要がある。ところがClearlyを使うと、それが分割されたページであることを自動的に認識し、一気に5ページ分をクリッピングできる場合がある(Webページの作りによっては、複数ページであることを認識してくれないこともある)。この機能に気づいたときは、感動してしまった。

最近のアップデートで、Clearlyでのクリッピング時に文字をハイライトできる機能が追加され、ますます使いやすくなったようだ。

関連記事:Evernoteの使い道

2012年9月5日水曜日

スコッチウィスキーをトワイスアップで

ウィスキーはスコッチを好んで飲んでいる。どんな飲み方にするかで楽しみも広がるものだ。

以前はオン・ザ・ロックで飲んでいたが、最近はリバイバルヒットしているハイボールを缶で飲むことが増えた。

自宅でじっくり飲みたいときは、トワイスアップという飲み方もよくやる。常温の水で倍に割るだけ。水割りと違って氷は入れない。

トワイスアップはウィスキーのブレンダーが試飲する時の飲み方、と聞いたことがある。適度にアルコールが薄まって、味と香りが引き立つのかもしれない。

グイグイ飲みたい時にはビールが欠かせないが、ウィスキーのトワイスアップをゆっくり飲むのもいいものだ。

美味いウイスキーをゆっくり飲む

2012年9月4日火曜日

チャーシューで選ぶラーメン

ラーメン店に入ると、まずはチャーシュー麺から選ぶことが多い。チャーシューが美味い店はテンションが上がる。

店によっては、チャーシューと角煮が同時に乗ったものを選べたりする。そんな時は、「明日は小食にしよう」と誓って注文してしまう。

チャーシューの味は、それぞれの店の個性が出ていて興味深い。最近出会うのは「炙りチャーシュー」。柔らかいチャーシューを厚めに切り、それを七輪などで炙ってある。寿司店で食べる炙りマグロや炙りサーモンも美味いが、もともと火が通っているチャーシューをさらに炙るので、チャーシュー自体がやわらかいことが美味さの秘訣のようだ。

以前、博多で長浜ラーメンに連れていってもらったことがある。本場の豚骨ラーメンを堪能しながら替え玉を頼もうとした時、メニューに「替え肉」というのがあることに気づいた。迷わず替え玉と同時に替え肉を頼んだ。替え肉が美味かったので、さらに注文すると、連れてきてくれた地元の知り合いが「替え肉を2回する人を初めて見た」と笑われたことを思い出す。

南麻布どらいちの優麺(ゆうめん)には炙りチャーシューが乗っている

2012年9月3日月曜日

いつも生姜焼きを注文してしまう

ランチを食べに食堂に入ると、ご飯とみそ汁がついた定食をよく注文する。中でも生姜焼き定食を注文することが多い。

生姜焼きが美味い店はもちろん、初めて行く店の場合もとりあえず頼んでしまう。定番としての安心感があるとともに、その店の味を代表しているような気がしている。

メインの生姜焼きの出来と、ご飯の炊き方が良かったりすれば、この上ない幸せだ。

白金のあかね食堂にて

2012年9月2日日曜日

テレビ番組を録画で見る

テレビ番組を見るときは、自宅のレコーダーで録画したものを見ている。この習慣は長年継続していて、ざっと25年くらい前からかもしれない。

HDDレコーダーが登場する前は、VHSや8ミリビデオで録画予約していた。その後、HDDの登場で録画予約が簡単になり、録画した番組を見る習慣がすっかり定着してしまった。録画した番組なら、一時停止させたりもう一度見直したり、早送りしたりが自在にできる。

25年の間で、ビデオデッキ3台とHDDレコーダー5台を使い継いできたが、直近の3台はキーワードで自動録画できるタイプを使っている(ソニーのおまかせ・まる録機能)。

この機能は、自分が興味のあるキーワードを一度登録しておけば、その文字が番組情報に含まれる番組を、自動で録画してくれるというものだ。自動で録画された番組は、実際のところは見ずに消すものがほとんどだが、たまに面白い番組を発見することがある。

深夜や早朝、平日の昼間に放送されているものなど、リアルタイムでは見ることのない時間帯に、興味深い番組が放送されていることもあり、この機能でそのような番組と出会うことができて面白い。

常時、録画予約中

2012年9月1日土曜日

一人飲みで街を知る

居酒屋といえば、気のあう合う仲間と飲むことが多いが、一人飲みもまた別の楽しみがある。

たまに泊まりの出張があったときなどは、その街の居酒屋に立ち寄ることにしている。

以前は一軒でじっくり飲んでいたが、今は三軒くらいハシゴする。ハシゴといっても、一軒で一杯一品を楽しみ30分くらいで次の店へ移るという具合だ。

はじめての場所で一軒だけではもったいない。何軒が行ってみると、その街の雰囲気が垣間見えたりして面白い。

とある居酒屋でフローズン八海山に出会う

2012年8月31日金曜日

宇宙を感じて暮らす

地球も人間も、宇宙の一部。目の前にあるアレもコレも、自分自身も宇宙の一部。

宇宙に関する情報に触れると、視野が少し広がったと感じることができる。iPadには、NASAの公式アプリを入れて火星探査の様子を見てみたり、テレビ番組を録画するHDDレコーダーには、番組を自動録画するためのキーワードとして「宇宙」を登録してあり、録画された宇宙に関する番組を見ることも楽しみの一つになっている。

人間の尺度から見れば、宇宙はあまりにも広大だ。一方で、先日ニュースで話題になったヒッグス粒子などの素粒子の世界は、あまりに小さい。大きすぎたり小さすぎたり、どちらも人の想像力の限界を超えてしまいそうだ。

一つ思うのは、大きいとか小さいという感覚は、人間の尺度から見てそう感じるだけだということ。宇宙の創造主がいるとしたら「自分の尺度で判断するとは、おろかなことだ」と言われてしまうかもしれない。

質量の起源とされているヒッグス粒子と、その他の素粒子との間の相互作用。地球と月の相互作用。さらには、太陽やもっと遠くの恒星や銀河同士の相互作用。人間の目から見ればあまりに違うスケールの事象だが、それらはすべて、この宇宙の中でつながっている一連の関係に過ぎない。今の状態とは、過去という初期状態からの必然の結果であり、未来への新たな初期状態を再設定しているだけなのかもしれない。

宇宙のスケールで捉えれば、目の前のことを、それが困難なことであったとしても、冷静に見つめることができるかもしれない。

月は宇宙を感じる身近な存在

2012年8月30日木曜日

完璧な朝食

たまの休みにちょっとした旅行に行った時、ホテルで食べる朝食を楽しみにしている。

ここ数年は、箱根の芦ノ湖畔にある山のホテルに年に一度訪れている。このホテルのレストランは夕食ももちろん美味しいが、シンプルな朝食がとても印象に残っている。

数年前にはじめて訪れて朝食を食べたとき、「完璧な朝食」という言葉が浮かんだ。今食べているのは、まさに完璧な朝食なのではないかと思ったのだ。

「最高の」とか「贅沢な」という形容ではなく、「完璧な」という言葉が浮かんだのは、「足るを知る」という意味での完璧さを感じたからかもしれない。

ちなみにこの朝食は、卵の焼き方を選べる。私はいつもふわふわのプレーンオムレツを頼む。ソーセージかベーコンも選べるので、それはその時の気分で選んでいる。

天気がいい時は、テラス席から眺める芦ノ湖の風景も、完璧な朝食の一部になってくれる。

「山のホテル」の朝食

2012年8月29日水曜日

辞書をひく

知らない言葉に出会ったとき、辞書をひくことにしている。

今はiPhoneにインストールしてある大辞林ロングマン英和をよく使う。いつでもどこでも使えるのでとても便利だ。

Mac上でWebなどの記事を読んでいる時には、OSに標準で入っている辞書アプリケーションが使える。Windowsでは、20年近く前に購入したBookshelfという辞書アプリを今でも使っている。

先日テレビ番組の中で「和敬清寂」という言葉が映り、早速iPhoneの大辞林でひいてみたところ、「わけいせいじゃく。 茶道で重んじられる精神。和敬は茶会において、主客がもっぱらとすべき精神、清寂は茶室・茶庭・茶器など全般に備わるべき精神をいう」とあり、茶道と関係した言葉であることを知った。

通常の国語辞典だけでなく、類義語辞典もたまに使うことがある。例えば「たまに」の「たま」を調べてみると、「時には」「時々」「ちょいちょい」「ちょくちょく」などが表示されてきて面白い。「たま」は「偶」と書くこともわかる(今ひいてみて知った)。

iPad上のKindleで洋書を読んだりするときには、単語を指で選択するだけで辞書をひくことができて、モーレツに便利だ。

電子デバイスで辞書をひくことができるようになって、紙の辞書はあまり使わなくなってしまったが、特に目的を定めずに辞書のページをめくることも楽しいひとときだ。「偶には」紙の辞書も開いてみようと思う。

Kindle for iPadの英和辞書

2012年8月28日火曜日

都バスで周遊

自宅近くのバス停から、特に目的地を決めずにバスに飛び乗ってみる。

都バスは一回の乗車あたり200円均一料金(東京23区内)だが、一日乗り降り自由の一日乗車券を500円で購入できる。

一日乗車券があることは知っていたが、バスの営業所など、どこかに買いに行かなければいけないと思い込んでいた。ところが、今はバスに乗車するときに「一日券で」と運転士に一声かければ、PASMOだけでOKなことを最近知った(都バスIC一日乗車券と呼ぶらしい)。一日券情報が一度PASMOに書き込まれれば、同日の二度目以降の乗車時は料金箱にタッチするだけでよい(二度目以降は運転士にいちいち言わなくてよい)。

何度乗っても追加料金がないので、車窓にちょっと気になる風景を見かけたら、次のバス停で気軽に降りられるし、少し歩いた後でまた後続のバスに乗り直すことも簡単だ。

先日渋谷駅から「池86」という池袋駅行きに乗ってみた。このバス路線は、明治通りをグイグイ走って行く路線で、渋谷駅東口から新宿3丁目あたりまでは見慣れた風景の中を走って行ったが、新宿を過ぎてさらに北に向かい始めると、その辺りは今まで一度も行ったことの無い場所だったことに気づき新鮮な気分だった。

PDFの路線図をiPadに入れておき、車内でちょくちょく眺めて次の乗り換え路線を探しながら周遊してみるのも面白い。

「次とまります」

2012年8月27日月曜日

図書館で過ごす休日の午後

休日午後の図書館。

のんびり派と熱心な勉強派が同居した雰囲気のなかで、静かに過ごす時間が大切に思える。

休日によく行く図書館は、東京都立中央図書館。有栖川公園の静かな森の中に、立派な建物がある。土日祝日も午後5時半まで開いていて便利だ。

書架の間を歩きながら、目に留まった本を開いてみる。そこでしか出会えない知識と感じたら、近くの閲覧席に座り、しばしページを繰ってみる。それが心地いい。

何度足を運んでも、このひとつの図書館の蔵書でさえ、すべてに目を通すことはできない。それが頼もしい。

目を通して気に入れば、自宅の蔵書として書店で購入することにしている。書店といっても、書名がわかっていればiPhoneからAmazonで購入することがほとんどだが。

図書館に行ったら、その中の食堂にも行ってみる。リーズナブルな値段で定食などが食べられることが多い。都立中央図書館の食堂は5階にあり、窓からの眺めもいい。

そういえば学生時代、渋谷区立中央図書館に通っていたことがある。原宿竹下通りの途中にある路地を進んでいったところにある図書館だ。ここの地下にも食堂があり、何度も昼食を食べた記憶がある。

渋谷区立中央図書館をWebで調べてみたところ、2年前に建て替えたそうで、当時の記憶とはまったく違う建物の写真が載っていた。いささか寂しいと思う反面、新しくなったこの図書館に今度行ってみようとも思う。

東京都立中央図書館 5階食堂からの眺め

2012年8月15日水曜日

スタバのFree Wi-Fiサービスはいい感じ

iPhoneやiPadで使えるソフトバンクの無料Wi-Fi(0001softbank)は、スターバックスも含めて使えるところが広がっているが、スタバで新たに無料Wi-Fiサービスが始まった。

これで手持ちのMacBook AirからもWi-Fi接続ができるようになり、とても便利になった。回線速度もかなりいい感じだ。

昨年1年間WiMAXルーターを使っていたが、思ったほど使用頻度があがらなかった。いざ使いたいときにエリア外だったり、エリア内の時は他の手段もあったりという感じであった。3Gのルーターにすれば、エリアの問題はほとんどなくなるが、速度がイマイチということもあり、費用対効果も考えるとWi-Fiルーター選びはなかなか難しい時代なのかもしれない。

スターバックスのFree Wi-Fiサービス: http://starbucks.wi2.co.jp/pc/index_jp.html


2012年5月19日土曜日

画質の基準を変えていくRetinaディスプレイ

Retinaディスプレイを搭載した新型iPadを使い始めると、その画質、特に文字フォントのなめらかさに驚く。そのうち、そのなめらかさに慣れてきた目で、MacやPCなどRetinaでない通常の画面を見た時に、以前は気にならなかった文字のギザギザが目についてしまい、画面上の文字の表示品質に対して、自分の基準が変わってしまったことに気がつく。こうなると、今後手にする液晶画面はすべてRetina画質(300ppi前後の解像度)を望みたくなってしまう。

MacBookの新モデルは、Retinaディスプレイになるという噂だが、これだけでもかなり魅力的なモデルチェンジといえそうだ。

2012年5月6日日曜日

Evernoteの使い道

Evernoteと出会って3年、2009年にiPhone 3Gの購入と共にインストールはしたものの、つい最近まで放置していたのだが、今更ながら使いはじめてみた。ようやく使い道が定まったという感じだ。

Evernoteのホームページには、「すべてを記憶する (Remember everything.)」というキャッチフレーズが大きく書かれていて、「何でも保存しよう」というコンセプトであるようだが、「すべて」とか「何でも」ということは、その使い方はユーザーに委ねられているということでもある。

無料の範囲

Evernoteを無料で使う場合、1ヶ月にアップロードできる容量が60MBまで(一つのノートあたり25MBまで)という制限がある。総容量には制限がない。無料で使える範囲を総容量で決めるサービスが一般的な中、このような制限は面白い。

※月額450円、または年間4,000円で有料アカウントを取得すれば、1ヶ月に1GBまで(一つのノートあたり50MBまで)アップロードすることができる。総容量に制限はない。

総容量に制限はないものの、1ヶ月に60MBという容量は今の時代の感覚からするとかなり少ないという印象を受ける。デジカメ写真1枚でも数MBあることを考えると、無料の範囲でEvernoteを使うことは無理があるという先入観を持ってしまう。この先入観が、インストールしたものの放置していた理由でもある。

まずはWebクリッピング

Webページをメモしておく方法としてブラウザのブックマークの他に、今までDeliciousとRead It Laterを使っていたが、「これ!」というWebページを見つけたときには、それをPDFで保存することが多かった。

EvernoteでWebクリッピングができることは以前から知っていたが、前述のように無料の範囲では容量が足らないという先入観があり、従来通りPDF保存することが多かったが、chromeブラウザのエクステンションや、iPadのSafariでブックマークレットを使い、いくつかのWebページをクリッピングしてみたところ、1回のWebクリップが思いのほか容量をとらないことに気づいた。これなら月に60MBが上限だとしても充分かもしれないと思い、それ以降EvernoteをWebクリッピング用に積極的に使うようになった。

クリッピング後に編集できる

EvernoteでクリッピングしたWebページは、オリジナルのWebページからコンテンツをコピーしてくれるので、オリジナルのWebページが変更されたり無くなってしまっても、クリッピングしたEvernote上の「ノート」に影響はない。また、クリッピングしたWebコンテンツはEvernote上で簡単な編集ができる。特に便利だと思ったのは、「ノートのマージ機能」だ。

あるWebページをクリッピングしようとしたとき、それがもともとWeb上で複数のページに分割されているものが少なくない。「次のページ」というボタンをクリックしながら読んでいくタイプのページだ。このようなWebページをクリッピングする場合、それぞれのページをクリッピングしていき、それぞれが個別の「ノート」としてEvernoteに保存される。このような場合に、ノートのマージ機能で一つにまとめておくことができる。

無料の範囲で使うなら「何を保存するか」を決めておく

1ヶ月に60MBという無料の範囲でEvernoteを使う場合、Evernoteのキャッチフレーズである「すべてを記憶する」というつもりで使うことには無理がある。何を保存するかフォーカスを絞って、まずは使い込んでみると便利さがジワジワわかってくる、という種類のツールかもしれない。使い込んだ上で容量が足りなくなってきたら、有料アカウントに切り替えればいいだろう。

Evernoteは、ファイルシステムの「次にくるもの」を提案している

Evernoteを使っていくにつれ、「これは、従来からあるファイルシステムの『次にくるもの』を提案しているのだな」と思うようになった。

「ノート」と「ノートブック」

Evernoteの特徴として目につくことは、それがクラウド上のシンプルなファイルストレージではなく、文字情報であれ写真であれ、それらが「ノート」という単位で保存されることだ。この「ノート」にはタグが付けられる。そして一つひとつのノートを束ねる役割を「ノートブック」と呼ぶ。

※初めて使ってみようとしたとき、「ノート」と「ノートブック」が違うものであることに気づかず混乱した。

「ファイル」を対象にしたオンラインストレージサービスとの違いは、コンテンツの単位でタグが付けられることが大きいと感じる。コンテンツに対するタグ付けにこだわったからこそ、そのコンテンツの入れ物を「ファイル」と呼ばずに「ノート」という別の名前にしたのかもしれない。もっとも、Evernoteの「ノート」がどんなものかを説明する場合には、「タグが付けられるファイルだよ」と表現することが、まずはわかりやすいとも思う。

ノートブックは「スタック」でグループ化できる

Evernoteの「ノートブック」は、ノートをまとめるフォルダのようなものと捉えることができるが、このノートブック自体は、一般のファイルシステム上のフォルダのように自由に階層化することができない。その代わり、複数のノートブックをまとめてグループ化することはでき、そのまとまりのことを「スタック」と呼んでいる。スタックの中に別のスタックをいれることができれば、自由な階層構造をつくることができそうだが、現在のところそれはできないようだ。

タグとノートブック、その使い分け

Evernoteのコンテンツの単位である「ノート」には、複数のタグを付けることができるので、従来からタグを使った整理に慣れている場合には大変使いやすい。一方で、フォルダによる整理に慣れている場合、「ノートブック」では自由に階層構造が作れないので、その整理を思い通りにできずに困ってしまうことがあるだろう。

階層構造で整理したい場合、Evernoteではなく、Dropboxのようなオンラインストレージのほうが使いやすいだろう。逆に、階層構造では整理しきれないと感じている場合には、タグを使った柔軟な分類方法を、Evernoteで試すいい機会かもしれない。

タグを使って分類する際に、もう一つの分類軸であるノートブックとの使い分けを考えておく必要がある。ついノートブックを細かく作ってしまい、「あれ、これってタグでできるのでは...」ということが起きてくる。

私は、「ノートブックはめったに増やさない。タグは気軽に付ける。」という方針で使っている。本質的には、タグが付けられるのであればノートブックは1つでいい。


Evernoteでは、「ファイル」や「フォルダ」といった従来のファイルシステム用語ではなく、「ノート」、「ノートブック」、「スタック」という言葉を使い、従来のファイルシステムとは違うことを印象づけている。考え方は、メーラーに近いという印象もある。メール自体、ずいぶん歴史を刻んで来たツールだけに、そろそろ「不連続な進化」があってもよさそうな時期だ。今後、どんな「新結合」が起きるのか、ますます楽しみだ。

関連記事: Evernoteの使い道 その後

2012年3月17日土曜日

Kindle for iPad 3.0 で英和辞書が使えるように

新型iPad(iPad3)を購入し、Kindleアプリ(Ver. 3.0)をセットアップしていたら、Kindleで使う辞書が英和辞書になっていた。辞書のコンテンツは、プログレッシブ英和中辞典。

アプリをバージョン3.0にアップデートして起動した時に、若干あやしげな日本語で、UIが変更になったことについて簡単な説明が表示され、「おや、日本語?」と思ったが、辞書も日本語対応していたようだ。
文中の単語を指で長押しすると選択され、同時に辞書引き内容がページ下部に表示される

2012年2月12日日曜日

大正昭和初期の考現学(モデルノロギオ)にエスノグラフィーの本質を見た


大正から昭和にかけて活躍された、今 和次郎(こん わじろう)氏の「採集講義展」に行ってきた。これが素晴らしく面白かった。

今氏は、建築家でもあり服飾デザイナーでもあるが、そのアイデアの根源は、エスノグラファーとしての活動からもたらされている。日本全国を歩き、民家の様子をスケッチした調査は圧巻である。

一方で、銀座の町を歩く人々を観察し、服装の分布、ひげの形やタバコの消し方、また「モダンガールの散歩コース」の観察、「2時間歩いて出会った犬の数と種類」など、目の付けどころがユニークであり、微笑ましくもある。

それらの観察結果を、手書きで表やグラフにまとめているのだが、その表現方法がすばらしくわかりやすい。しかもデータの集計なのに、イラストや手書きの文字に、暖かみさえ感じる。思わず、そのデータを詳細に読みたくなってしまうのだ。

いったいこれはどうしたことだろう。

デジカメも、ICレコーダーも、エクセルも、パワーポイントもない時代の調査結果が活き活きと表現され、見るものに深い関心を持たせることに成功している。

ペンとノートと「観察眼」さえあれば、エスノグラフィーは可能であり、ITツールは「あれば便利な補助ツール」でしかない、という事実を改めて認識させられる。

よい観察ができないとしたら、それはデジカメの画素数が足りないからではない。録音した音声が聞き取れないからではない。エクセルがよく落ちるからではない。

「観察眼」が足りないのだ。

テクノロジーの進歩で、昔はできなかったことができるようになってきたことは事実だと思う。一方で、昔はできていたことを、「テクノロジーが代行してくれる」という錯覚のもとにやらなくなってしまい、次第にできなくなってしまったのではないだろうか。

身体性をともなう行為、すなわち、自分の五感を駆使して得た生情報を大切にしたい。手当り次第に写真を撮ったり、全てを録音したりすることに気を取られて、自分自身が「その場で感じる」という行為をおろそかにしてしまうと、本質が見えなくなってしまうだろう。

参考文献:今和次郎 採集講義
参考文献:今和次郎 考現学入門