2010年10月19日火曜日

自分の想像力の範囲を超える方法

例えば、「子供用の歯ブラシをデザインする」というテーマが与えられたとしたら、
どのようなプロセスでデザインしていくだろうか?
以下のような感じで考えることが多いかもしれない。

Step 1. 対象となる子供の年齢の範囲を設定し、その子供たちの手の大きさの平均値を調べる
Step 2. 大人の手の大きさの平均値を調べる
Step 3. 大人用の歯ブラシを、子供用の大きさに合わせて縮小する

このようなやり方は、論理的には正しく見える。

ここで、実際に子供が歯磨きをしているところを観察してみるとどうなるだろう。

観察してみると、子供は大人ほど手先が器用でなく、
歯ブラシをわしづかみにして磨いている様子を発見できるかもしれない。

そのとき、

「子供サイズの歯ブラシは、わしづかみするには細すぎる」

ということに気づけるだろう。
そして、「子供が握りやすい歯ブラシのグリップ」というテーマが見つかり、

「大人用より太いほうがいいんじゃないか?」というアイデアにつながっていく。

先ほどの、論理的に正しいはずのやり方と、逆の結論が得られるのだ。

自分の想像力の範囲では、
「子供用は小さくする」というあたりまえの発想から抜け出すことは難しいが、
観察によって現実を知ることで、
自己の想像力の範囲を簡単に超えられることがある。

IDEOなどのデザインファームが、観察の大切さを主張するのは、
こんなところに理由があるのだと思う。

参考: 発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法