iPadが発表されましたね。
形や機能など、昨年末からの噂どおりといった感じで、
大きな驚きはなかったものの、
これからのコンピューティングデバイスの、
新たな形態の試み、といえるものだと思います。
従来のコンピューティングデバイスは、
キーボードというハードウェアの存在が、
ほぼ必須条件として考えられてきました。
電子ブックの普及で先行したAmazonのKindleでさえ、
ハードウエアとしてキーボードを搭載しています。
iPod touchやiPhoneで、テンキーというハードウェアを取り去り、
マルチタッチスクリーンに置き換えたAppleにとって、
iPadの形態、すなわちハードウェアとしてのキーボードを取り去った形は、
自然な進化と言えるのかもしれません。
iPadは、「パーソナルコンピュータ」の技術を使いながらも、
人々がそれを、「パーソナルコンピュータ」と呼ばなくなるデバイスかもしれませんね。
この「多機能な板(a multifunctional slate)」は、どんなカテゴリーを切り開くのか、
興味はつきません。
それはともかく、
iPadの発表の場で、Steve Jobs氏の舞台には、
ソファが置いてありました。
「iPadを使う日常の風景とは、こんな場面だよ」
ということを、見せたかったのだと思います。
パーソナルコンピュータが、仕事の道具として一般化した今、
パーソナルコンピュータそのものが、あまり魅力的でない存在に
なってきているのかもしれません。
机にむかって、顧客や上司のメールを目を血眼(ちまなこ)にして読み、
懸命に返信をするための道具になっているのではないでしょうか。
iPadは、
「コンピューティングパワーは、もっと楽しいことに使えるはずだ」
「コンピューティングパワーを、リラックスした場面で使おうよ」
という、提案なのかもしれませんね。