昨日の記事で、IDEOのイノベーションプロセスは、ユーザ観察からはじめると書きましたが、実際にIDEOと協業してみると、この事が本当に大切だと感じました。
その理由の一つとして、実際のユーザーを観察することで、自分の想像力の範囲を、簡単に越えられる、ということが言えると思います。
例えば、「子供用の歯ブラシをデザインする」というテーマが与えられたとき、観察なしでデザインしようとすると、どういうプロセスを経るでしょうか?
Step 1: 対象となる子供の年齢の範囲を設定し、その子供たちの手の大きさの平均値を調べる
Step 2: 大人の手の大きさの平均値を調べる
Step 3: 大人用の歯ブラシを、子供用の大きさに合わせて縮小する
こんな感じで、考えるかもしれませんね。
ここで、実際に子供が歯磨きをしているところを観察してみると、何が変わるでしょうか。観察してみると、例えば、子供は大人ほど手先が器用でなく、歯ブラシをわしづかみにして磨いている様子を発見できるかもしれません。
そのとき、「子供サイズの歯ブラシは、わしづかみするには細すぎる」ということに気づけるかもしれません。そして、「子供が握りやすい歯ブラシのグリップ」というテーマが見つかり、「大人用より太いほうがいいんじゃないか?」というアイデアにつながるかもしれません。
思ってもいなかった発見に至ることは、とてもエキサイティングなことだと思います。観察は、その手段として、とても有効だと感じています。