2007年1月31日水曜日

銀座ITO-YAでの「ちょっといい経験」

先日、ワークショップグッズなどを納めるための、いい箱を探しに、銀座のITO-YAに行きました。朝の開店時間が10:30で、到着したのが10:20頃でした。

早めに駅に到着したので、店の周りをちょっと散歩しながら、開店時間を待とうと思っていたのですが、ITO-YAの入り口を見てみると、どうやら扉が開いていて、お客さんと思えるひとたちがいるのが見えました。

「早めに開店しているのかな?」と思い、店の前に行ってみると、開店はしていなかったのですが、入り口の暖房の効いたロビーのところでお茶が振舞われていました。

寒い時期に、開店直前に行った私たちに対して、このようなホスピタリティを提供してくれたITO-YAに、ちょっと感動しました。すばらしい場のデザインと言えると思います。

2007年1月12日金曜日

ユーザ観察からはじめるデザイン その2

ユーザー観察が大切だと思う理由の一つとして、自分の想像力の範囲を、簡単に越えられる、というお話を書きましたが、もう一つの理由として、デザインチームのメンバー間相互の、共感を醸成することができる、という点が挙げられると思います。

自分たちでユーザーを観察してきた後、それぞれのメンバーが、自分が見たこと、聴いたことを、他のメンバーと語り合うことで、「そうそう、あのときのあの人の楽しそうな表情が忘れられないよ!」とか、「あの場面では、あんなに操作が大変なんだなー。愚痴をこぼしながら使っていたもんな。」など、人間の行動を、感情も含めて、深いコンテキストを理解しあうことができるようになると思います。

このように、ユーザーに共感し、そのストーリーにメンバー同士が共感し合える状況をつくるためには、事実を自ら見聞きする観察をすることが、とても大切だと思うのです。そして、共感できる事実にもとづいた、意思決定をしていくことができるようになると思います。

2007年1月10日水曜日

ユーザ観察からはじめるデザイン

昨日の記事で、IDEOのイノベーションプロセスは、ユーザ観察からはじめると書きましたが、実際にIDEOと協業してみると、この事が本当に大切だと感じました。

その理由の一つとして、実際のユーザーを観察することで、自分の想像力の範囲を、簡単に越えられる、ということが言えると思います。

例えば、「子供用の歯ブラシをデザインする」というテーマが与えられたとき、観察なしでデザインしようとすると、どういうプロセスを経るでしょうか?

Step 1: 対象となる子供の年齢の範囲を設定し、その子供たちの手の大きさの平均値を調べる
Step 2: 大人の手の大きさの平均値を調べる
Step 3: 大人用の歯ブラシを、子供用の大きさに合わせて縮小する

こんな感じで、考えるかもしれませんね。

ここで、実際に子供が歯磨きをしているところを観察してみると、何が変わるでしょうか。観察してみると、例えば、子供は大人ほど手先が器用でなく、歯ブラシをわしづかみにして磨いている様子を発見できるかもしれません。

そのとき、「子供サイズの歯ブラシは、わしづかみするには細すぎる」ということに気づけるかもしれません。そして、「子供が握りやすい歯ブラシのグリップ」というテーマが見つかり、「大人用より太いほうがいいんじゃないか?」というアイデアにつながるかもしれません。

思ってもいなかった発見に至ることは、とてもエキサイティングなことだと思います。観察は、その手段として、とても有効だと感じています。

2007年1月9日火曜日

IDEOというデザインファーム

IDEO(アイディオ)というデザインファームがあります。

Appleの初期のマウスや、PowerBook Duo (なつかしい!) のドッキングシステムなどを、実際にデザインしたファームです。PalmやHandspringなどのPDAや、歯磨き粉のチューブ、スポーツドリンクのボトルのデザインなど、幅広く手がけています。

IDEOは、デザインを手がけるだけでなく、自分たちのデザイン手法を基にしたコンサルティングも行っていて、その手法を「イノベーションのプロセス」と言っています。

IDEOのイノベーションプロセスは、ユーザー観察から始まり、ブレインストーミングでのアイデア出しを経て、プロトタイピングを何度も素早く繰り返していくという流れをとっており、この流れをIDEOのデザイナー全員が共有しています。

半年ほど前、IDEOと協業する機会を得て、1ヶ月ほど、Palo AltoにあるIDEOの本社で、彼らと一緒に仕事をしてきたのですが、実際に協業してみて感心したのは、そのスピード感でした。ユーザー観察からプロトタイピングまでを3週間程度でやってしまいます。一度のプロトタイピングでは、いいものはできないという前提のもとで、ユーザーの声を取り入れながら、何度もプロトタイピングを繰り返し、いいものに近づけていく。これが、結果的に、早くいいアイデアにたどり着く方法なんだ、ということでした。

早く成功するためには、早めに失敗しておくことが大切」という価値観を、デザイナーが共有していて、失敗を恐れない文化が根付いていました。

私たちは、つい失敗を恐れて、一歩目を踏み出せないことがありますが、IDEOのような考え方を取り入れることができれば、「最初はできないと思っていたけど、いろいろトライしてみたら、できたね!」という経験を、積み重ねられるかもしれませんね!