2010年7月30日金曜日

ハードウェアとしてのKindleの存在理由

Amazonから、Kindleの新しいハードウェアが発表された。価格も大幅に安くなって、使い勝手も向上しているようだ。

一方で、iPhone/iPad用のKindleアプリもバージョンアップして、辞書引きができるようになった。

今まで辞書引きは、ハードウェアのKindleではできたが、iPhone/iPadアプリではできなかったので、とてもうれしい機能追加になった。

しかもiPhone/iPadアプリなら、指で単語をワンタッチするだけで、辞書を引けるので、この上ない便利さだ(ハードウェアのKindleの場合は、カーソルを単語まで移動させる必要がある)。

ハードウェアのKindleの良さは、軽量であること、3G回線でいつでもKindle Storeにつなげられることだと感じているが、今回の辞書機能の追加で、iPhone/iPadアプリのKindleに、より魅力を感じるようになった。

もともとWeb上の書店として出発したAmazonが、今後もハードウェアとしての電子ブックリーダーを作り続けるのかどうか、判断をすべき時がくるのかもしれないが、おそらく作り続けるのではないか、という気がしている。

紙や電子、どんな形態であっても、顧客に本を提供するというサービスに責任をもつのなら、本を読むために「他社のデバイスを買ってください」とは、ベゾス氏は経営者として言いたくないのではないか、と思う。

「経営の効率化」という視点だけで判断するのではなく、「顧客に何を提供することを目指しているのか」という企業の存在理由に根ざした判断が、大切になると思う。

アップルはアップルの目指す方向に向かって、iPhoneやiPadを進化させて行くことだろう。その方向が、Amazonの目指す方向と一致しないこともあり得る。

その時、ハードウェア版のKindleを出し続けていることが、顧客の読書手段を守ることにもつながるのではないか、と思う。

紙か電子かに関わらず、本というメディアに対する愛情や思い入れを持ち続ける企業に、電子書籍の市場をリードして欲しいと願っている。