2012年5月19日土曜日

画質の基準を変えていくRetinaディスプレイ

Retinaディスプレイを搭載した新型iPadを使い始めると、その画質、特に文字フォントのなめらかさに驚く。そのうち、そのなめらかさに慣れてきた目で、MacやPCなどRetinaでない通常の画面を見た時に、以前は気にならなかった文字のギザギザが目についてしまい、画面上の文字の表示品質に対して、自分の基準が変わってしまったことに気がつく。こうなると、今後手にする液晶画面はすべてRetina画質(300ppi前後の解像度)を望みたくなってしまう。

MacBookの新モデルは、Retinaディスプレイになるという噂だが、これだけでもかなり魅力的なモデルチェンジといえそうだ。

2012年5月6日日曜日

Evernoteの使い道

Evernoteと出会って3年、2009年にiPhone 3Gの購入と共にインストールはしたものの、つい最近まで放置していたのだが、今更ながら使いはじめてみた。ようやく使い道が定まったという感じだ。

Evernoteのホームページには、「すべてを記憶する (Remember everything.)」というキャッチフレーズが大きく書かれていて、「何でも保存しよう」というコンセプトであるようだが、「すべて」とか「何でも」ということは、その使い方はユーザーに委ねられているということでもある。

無料の範囲

Evernoteを無料で使う場合、1ヶ月にアップロードできる容量が60MBまで(一つのノートあたり25MBまで)という制限がある。総容量には制限がない。無料で使える範囲を総容量で決めるサービスが一般的な中、このような制限は面白い。

※月額450円、または年間4,000円で有料アカウントを取得すれば、1ヶ月に1GBまで(一つのノートあたり50MBまで)アップロードすることができる。総容量に制限はない。

総容量に制限はないものの、1ヶ月に60MBという容量は今の時代の感覚からするとかなり少ないという印象を受ける。デジカメ写真1枚でも数MBあることを考えると、無料の範囲でEvernoteを使うことは無理があるという先入観を持ってしまう。この先入観が、インストールしたものの放置していた理由でもある。

まずはWebクリッピング

Webページをメモしておく方法としてブラウザのブックマークの他に、今までDeliciousとRead It Laterを使っていたが、「これ!」というWebページを見つけたときには、それをPDFで保存することが多かった。

EvernoteでWebクリッピングができることは以前から知っていたが、前述のように無料の範囲では容量が足らないという先入観があり、従来通りPDF保存することが多かったが、chromeブラウザのエクステンションや、iPadのSafariでブックマークレットを使い、いくつかのWebページをクリッピングしてみたところ、1回のWebクリップが思いのほか容量をとらないことに気づいた。これなら月に60MBが上限だとしても充分かもしれないと思い、それ以降EvernoteをWebクリッピング用に積極的に使うようになった。

クリッピング後に編集できる

EvernoteでクリッピングしたWebページは、オリジナルのWebページからコンテンツをコピーしてくれるので、オリジナルのWebページが変更されたり無くなってしまっても、クリッピングしたEvernote上の「ノート」に影響はない。また、クリッピングしたWebコンテンツはEvernote上で簡単な編集ができる。特に便利だと思ったのは、「ノートのマージ機能」だ。

あるWebページをクリッピングしようとしたとき、それがもともとWeb上で複数のページに分割されているものが少なくない。「次のページ」というボタンをクリックしながら読んでいくタイプのページだ。このようなWebページをクリッピングする場合、それぞれのページをクリッピングしていき、それぞれが個別の「ノート」としてEvernoteに保存される。このような場合に、ノートのマージ機能で一つにまとめておくことができる。

無料の範囲で使うなら「何を保存するか」を決めておく

1ヶ月に60MBという無料の範囲でEvernoteを使う場合、Evernoteのキャッチフレーズである「すべてを記憶する」というつもりで使うことには無理がある。何を保存するかフォーカスを絞って、まずは使い込んでみると便利さがジワジワわかってくる、という種類のツールかもしれない。使い込んだ上で容量が足りなくなってきたら、有料アカウントに切り替えればいいだろう。

Evernoteは、ファイルシステムの「次にくるもの」を提案している

Evernoteを使っていくにつれ、「これは、従来からあるファイルシステムの『次にくるもの』を提案しているのだな」と思うようになった。

「ノート」と「ノートブック」

Evernoteの特徴として目につくことは、それがクラウド上のシンプルなファイルストレージではなく、文字情報であれ写真であれ、それらが「ノート」という単位で保存されることだ。この「ノート」にはタグが付けられる。そして一つひとつのノートを束ねる役割を「ノートブック」と呼ぶ。

※初めて使ってみようとしたとき、「ノート」と「ノートブック」が違うものであることに気づかず混乱した。

「ファイル」を対象にしたオンラインストレージサービスとの違いは、コンテンツの単位でタグが付けられることが大きいと感じる。コンテンツに対するタグ付けにこだわったからこそ、そのコンテンツの入れ物を「ファイル」と呼ばずに「ノート」という別の名前にしたのかもしれない。もっとも、Evernoteの「ノート」がどんなものかを説明する場合には、「タグが付けられるファイルだよ」と表現することが、まずはわかりやすいとも思う。

ノートブックは「スタック」でグループ化できる

Evernoteの「ノートブック」は、ノートをまとめるフォルダのようなものと捉えることができるが、このノートブック自体は、一般のファイルシステム上のフォルダのように自由に階層化することができない。その代わり、複数のノートブックをまとめてグループ化することはでき、そのまとまりのことを「スタック」と呼んでいる。スタックの中に別のスタックをいれることができれば、自由な階層構造をつくることができそうだが、現在のところそれはできないようだ。

タグとノートブック、その使い分け

Evernoteのコンテンツの単位である「ノート」には、複数のタグを付けることができるので、従来からタグを使った整理に慣れている場合には大変使いやすい。一方で、フォルダによる整理に慣れている場合、「ノートブック」では自由に階層構造が作れないので、その整理を思い通りにできずに困ってしまうことがあるだろう。

階層構造で整理したい場合、Evernoteではなく、Dropboxのようなオンラインストレージのほうが使いやすいだろう。逆に、階層構造では整理しきれないと感じている場合には、タグを使った柔軟な分類方法を、Evernoteで試すいい機会かもしれない。

タグを使って分類する際に、もう一つの分類軸であるノートブックとの使い分けを考えておく必要がある。ついノートブックを細かく作ってしまい、「あれ、これってタグでできるのでは...」ということが起きてくる。

私は、「ノートブックはめったに増やさない。タグは気軽に付ける。」という方針で使っている。本質的には、タグが付けられるのであればノートブックは1つでいい。


Evernoteでは、「ファイル」や「フォルダ」といった従来のファイルシステム用語ではなく、「ノート」、「ノートブック」、「スタック」という言葉を使い、従来のファイルシステムとは違うことを印象づけている。考え方は、メーラーに近いという印象もある。メール自体、ずいぶん歴史を刻んで来たツールだけに、そろそろ「不連続な進化」があってもよさそうな時期だ。今後、どんな「新結合」が起きるのか、ますます楽しみだ。

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